FIA-F4鈴鹿大会第3戦決勝レポート
木村偉織がファイナルラップに逆転で2勝目!
太田、小出が表彰台、IND-CはHIROBON凱歌

公式予選から4時間半が経過した午後1時10分、FIA-F4選手権第3戦決勝のコースインが始まった。ドライコンディションでのコースインながら、どんよりとした空の下、コースイン直前から西コースを中心に細かい雨が降り始めたことで、予選同様にウェット宣言が出されることに。各車が1周の後ダミーグリッドに着いたが、断続的に細かい雨が降る状況となり、各チームがドライタイヤかレインタイヤかの選択に頭を悩ませる中で、午後1時25分のスタートは10分間ディレイされる。
このディレイの序盤にはグリッド上の雨が減ったものの、作業が許されるフォーメーションラップスタート3分前となった午後1時32分の直前には雨量が増え、結果的にグリッド中団以降の17〜8台がレインタイヤを選択。対照的に上位陣はドライタイヤを選択し、レインタイヤを履く最上位は9番手スタートの元嶋成弥であった。
そして迎えた第3戦のスタートは微妙なコンディションとなったことからセーフティーカー先導スタートに。このため、午後1時35分にセーフティーカー先導で静かに1周目が始まった。

このセーフティーカーは2周目にコースを去り、2周目から本格的な戦いがスタート。デグナーでは6番手の伊東黎明が小出峻に襲いかかるも、ポジションチェンジはなし。一方、130Rで野中誠太を捕らえた荒川麟が2番手に浮上、さらにシケインでは太田格之進が3番手に後退した野中をパスし、木村、荒川、太田、野中、小出、そして伊東がトップ6というオーダーで3周目を終える。
やや雨量が増え始める中、5周目には1コーナーで清水英志郎が奥住慈英をパスし7番手に。このころ、9番手につけていた松澤亮佑には、2周終了時のスタート時にコントロールライン前に前車を抜いてしまっていたため、スタート違反でドライブスルーペナルティーという裁定が科せられ、この後ポイント圏外への後退を余儀なくされる。

レース半ばの6周目、雨量が増えてペース的に厳しくなったか、2番手の野中に太田が肉薄。1コーナーで仕掛けると、続く2コーナーで太田が野中の前に出て2番手に。また、その背後ではいったん先行されていた伊東を小出が抜き返し、5番手に復帰を果たすが、さらにコース終盤で一気に野中、荒川をパスして3番手にまで躍進。
加えて勢いに乗る太田は続く7周目には一気にトップとの間合いを詰め、130Rで木村を捕らえトップに躍り出ることに。これで、7周終了時には、太田、木村、小出のHonda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト勢がトップ3を独占、これを荒川、伊東、野中、清水、奥住、岩澤優吾、小川颯太らが追う展開。
一方タイヤ選択という面で見れば、インディペンデントカップの10番手という後方からスタートしたHIROBONがドライタイヤを選択し、なんと小川の後ろ、総合11番手にまで追い上げてきていたことからも明白なように、ドライタイヤが正解であった。

しかし、レースはこのまま終わらず、8周目のシケインで今田信宏と接触した鳥羽豊がスピンアウト。再スタートは叶わず、この鳥羽の車両を回収するため、またもセーフティーカーが導入されることとなってしまう。
8周目、9周目とセーフティーカーが先導し、10周目にセーフティーカーのランプが消灯。11周のこの第3戦決勝は、ラスト1周の攻防となった。
1コーナーで伊東を野中がパスして5番手に浮上、さらに伊東は清水の後塵を拝することに。また、スプーンでは野中が4番手の荒川を捕らえて前の3台を追うが、その前ではHonda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト勢が三つ巴の攻防を展開。130Rの飛び込みで、2番手木村がトップの太田に並びかけこれを攻略、木村が再逆転で首位の座を奪い返す。
その背後では野中が小出にチャレンジするも、小出はこれを許さず。結局トップチェッカーを受けたのは木村で、これで今季2勝目。太田は悔しい2位となり、3位には小出が入り、Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクトがホームコースの鈴鹿で表彰台を独占。野中が4番手で続き、最終立ち上がりで密集状態の中、清水が僅かに荒川に先んじて5番手でフィニッシュを果たした。
しかしレース後、野中には最後のリスタート時に追い越しがあったとしてH項違反のため40秒加算となり、ポイント圏外に降格されることに。この結果、清水、荒川、奥住が4〜6位となった。

レインタイヤを選択するドライバーが圧倒的多数となったインディペンデントカップでは、序盤からドライタイヤを選択したドライバーが他を蹴散らすかのようにハイペースでポジションを上げていく展開。
序盤こそ、ポールポジションからスタートした仲尾恵史がレースをリードし、これに佐藤セルゲイビッチが続いたものの、3周目にはドライタイヤを履いていたHIROBONがインディペンデントカップ勢のトップに大躍進。さらに同じくドライタイヤを履く齋藤真紀雄も仲尾、佐藤を相次いで捕らえて2番手に浮上、さらに最終ラップに同じくドライタイヤの碓井ツヨシがポジションを上げて3番手に続き、終わってみればドライタイヤを選択したドライバーがインディペンデントカップの表彰台に。
大逆転でインディペンデントカップ今季3勝目を飾ったHIROBONは、総合順位でも11番手でフィニッシュ。しかし、野中の降格処分により10位に繰り上がることとなり、インディペンデントカップがスタートした2018年以来、初めてインディペンデントカップ対象ドライバーが総合でのシリーズポイントを獲得する快挙となった。
