FIA-F4富士大会第14戦決勝レポート

激戦制した野中誠太が逆転チャンピオンに!
IND-Cも大逆転でHIROBONが王座獲得

 ドライバー、チーム、インディペンデントカップと3つすべてのタイトル決定がもつれ込むこととなった、今季のFIA-F4選手権シリーズ最終戦。11月28日日曜の富士スピードウェイは、前日同様に快晴ながらもかなりの冷え込みとなった午前8時にフォーメーションラップがスタートした第14戦は、セーフティーカーが2度入る乱戦ながらもシリーズ最終戦でのタイトル争いにふさわしい、見応えある好レースが展開された。

 34台が出走して迎えたこの最終戦。土曜の第13戦同様にポールポジションに伊東黎明、2番手に3ポイント差で逆転チャンピオンを狙うランキング2位の野中誠太、そして3番手にポイントリーダー荒川麟、4番手に19ポイント差ながらタイトルの可能性を残すランキング3位の木村偉織、そして3列目に太田格之進、奥住慈英が並ぶグリッドとなった。

 冷えたタイヤに少しでも熱を入れるべく、各車入念にウェービングしてフォーメーションラップを終え、午前8時04分にいよいよ今季最終戦のスタートが切られた。
 ポールの伊東が好スタートを決めた一方、2番手の野中は動き出しが鈍く、4番手スタートの木村に並びかけられ、1コーナーでは伊東、木村、野中、8番手からジャンプアップした小出峻、そして荒川、太田格之進といったオーダーに。
 しかし、1コーナーでは中団グループで混乱が発生。スタートでインディペンデントカップのトップに立ちかけたDRAGONに鳥羽豊が接触してしまい、DRAGONが1〜2コーナー間でスピン〜ストップしたため、いきなりのセーフティーカーが導入されることに。

 このセーフティーカーは3周目に消灯し、レースは3周終了時、4周目からリスタートとなったが、トップの伊東のスリップについていた木村が、スタートラインより前で伊東を抜きかけるが、誤りに気づいてペースを落とし伊東の後ろにポジショニングを改めたことで、その背後の荒川、野中、小出らと木村が伊東の背後、1コーナーで4ワイドになる状況に。ここから抜け出た荒川、野中が2〜3番手にポジションアップし、木村は小出の先行は防いだものの、一気に4番手に後退してしまう。
 ところが、このリスタート時にも集団の中でアクシデントがあり、吉村渉のマシンが1〜2コーナーでスピン〜ストップした他、大阪八郎と大山正芳が接触するなどしたことから、このレース2度目のセーフティーカーが導入される。

 レースは7周終了時、8周目からリスタート。このリスタートでトップ伊東のスリップを活かした2番手荒川は、1コーナーでトップに浮上し、さらに野中、木村も2〜3番手に浮上し、伊東は4番手に後退。さらに小出の後塵を拝して5番手となってしまうが、これで残り周回数7周でタイトルの可能性を残す3人のドライバーがトップ3で戦う展開となる。

 コンマ数秒差の僅差のまま、毎周のように1コーナーやダンロップコーナーで接近戦を演じる上位陣だったが、荒川はトップを死守。野中、木村も2〜3番手のまま追走をすることとなったが、ラスト2周となった13周目の1コーナーで、ついに野中が荒川を捕らえてトップを奪い取ると、そのまま逃げ切ってトップチェッカー! 荒川も最後まで野中を追ったが、一歩届かず2位、木村が3位となったことで、野中が逆転で今シーズンのドライバーチャンピオンを手にすることとなり、チームタイトルでもTGR-DC Racing Schoolがタイトルをつかんだ。
 なお、最終ラップにポジションを上げた太田と奥住が4〜5位、伊東が6位でのフィニッシュとなっている。

 一方、昨日の第13戦で鳥羽豊がポイントリーダーに躍り出て、ランキング2位に後退したHIROBONとのタイトル争いに注目が集まったインディペンデントカップでも、ドラマティックな展開となった。
 8ポイント差のポイントリーダー、しかもポールポジションからのスタートと万全の体勢で最終戦でのタイトル獲得を目指す鳥羽に対し、昨日の第13戦で他車との接触で右リヤタイヤのパンクに見舞われてノーポイントに終わり、ランキング2位に後退、さらに2輪以上のタイヤ交換を余儀なくされ、ペナルティーでこの最終戦を最後尾からスタートするHIROBON。

 圧倒的に鳥羽優位と見られていたが、スタート直後の1コーナーでスタートで先行したDRAGONと、そのインを突いた鳥羽が接触。ここでDRAGONはスピンしリタイアとなったが、鳥羽はなんとかトップのまま周回を続ける。
 一方のHIROBONは好スタートを決めて混乱を掻い潜り、1周目にインディペンデントカップの5番手までジャンプアップ。しかし、この時点では鳥羽との間には若手ドライバーも含め7台を挟んでいる状況で、セーフティーカー明けの4周目のリスタートに注目が集まったが、ここでもHIROBONは好スタートを決めることに成功。先行していた齋藤真紀雄、IKARIらをかわし、インディペンデントカップの3番手まで浮上し、鳥羽との間には3台という位置まで接近する。

 すると、HIROBONは8周目のリスタートで前の佐藤セルゲイビッチをかわし、ついには鳥羽との間には若手ドライバー1台という状況に。最初の接触でのダメージからペースの上がらない鳥羽に対し、1台をかわしてテール・トゥ・ノーズとなったHIROBONは、ついに10周目のダンロップコーナーで鳥羽の前に。
 しかし、両者はスリップ状態のまま11周目の1〜2コーナーの競り合いでサイドbyサイドからわずかに接触し、鳥羽がスピンしてしまう。

 これでトップを確固たるものとしたHIROBONに対し、直後に鳥羽にはDRAGONとの接触に対しドライブスルーペナルティーが科せられ大きく後退し勝負あり。そのままトップチェッカーを受けたHIROBONが大逆転でインディペンデントカップのチャンピオンを獲得。2〜3位にはIKARI、佐藤が入り、4〜6位には齋藤、掘田誠、近藤善嗣。鳥羽は9位でのチェッカーとなり、無念のランキング2位でシーズンを終えることとなった。