FIA-F4 富士大会第1戦決勝レポート

伊東黎明がトップチェッカーもまさかのペナルティ
三井が繰り上がりで初優勝、IND-Cは逆転で鳥羽が凱歌

開幕戦ウイナーとなった#7三井優介

 午後1時35分、オンタイムのコースイン開始となったFIA-F4選手権第1戦決勝。14周または30分間の開幕戦に向け、予選でクラッシュした眞田拓海も車両修復がギリギリで間に合い、無事過去最多となる40台全車が決勝のダミーグリッドに着く。
 快晴の下、午後1時50分に開始されたフォーメーションラップが終わると、いよいよ午後1時54分に決勝レースがスタートした。

スタート直後の1コーナー

 注目のスタートでまずまずの動き出しを見せたポールポジションの小出峻だったが、さらに鋭い加速を見せたのは予選2番手、これがFIA-F4初レースとなる西村和真。両者は並走しながら1コーナーへアプローチ、最後のところではアウト側の小出が前に出たかと思われたが、イン側に飛び込んだ西村の左フロントと小出の右リヤが接触してしまい、小出はスピン。3番手に続いていた荒川麟もこのアクシデントを避けようとコースオフし、いきなりスタート直後の1コーナーで大きな混乱が起こる。
 これで上位陣のオーダーは、西村、奥本隼士、三井優介、伊東黎明、卜部和久、岩澤優吾といった顔ぶれとなるが、右リヤにダメージを負った小出はまさかのリタイア。コースオフせざるを得なかった荒川も16〜7番手あたりまで後退することとなってしまう。

#6西村はトップに立つもペナルティーを受けることに

 オープニングラップを制した西村だったが、奥本、三井、伊東、卜部、岩澤ら上位陣はコンマ数秒差で連なっており、その中でも各車が競り合う状況。2周目には岩澤が卜部をかわし、5番手にポジションアップすると、さらに3周目の1コーナーでは接近戦となっていた奥本、三井の2番手争いの大外から、伊東が一気に2ポジションアップを果たして2番手に躍り出る。さらには続くコカコーラコーナーで三井が奥本の前に。
奥本の苦闘は続き、300Rからダンロップコーナーにかけて、岩澤に並びかけられ5番手にまでドロップ。
 4周目には卜部にもかわされた奥本は6番手にまで後退してしまうが、なんとか5周目に卜部を抜き返し、5番手に順位を戻す。

 こうした背後の攻防の間にセーフティーマージンを稼いでおきたい西村だったが、2番手に浮上した伊東とのギャップは、コンマ7〜8秒から拡大せず、苦しい展開が続いたが、さらに6周目にはスタート直後の1コーナーでの小出との接触に対して、ドライブスルーペナルティーが科せられ万事休す。西村は7周終了時にピットロードへと向かい、ドライブスルーペナルティーを消化するが、これで大きくポジションを落とし優勝争いから脱落することに。

初勝利となった#7三井と2位となった#97岩澤

 これでトップに立ったのは伊東。しかし、伊東の背後には三井、岩澤がコンマ数秒差で続いており、混戦の首位争いは変わらず展開される。トップ3の2秒半後方を行く4番手奥本には奥住慈英、さらには激しく追い上げてきた荒川が迫ることに。9周目に奥住を捕らえた荒川は、1分45秒766のファステストラップをマークしつつ奥本との間合いを詰めると、13周目には1コーナーでついに奥本の前に。
 しかしこの時間合いを詰めていた奥住が2コーナー立ち上がりで荒川をかわして4番手に。再び5番手に戻った荒川だったが、諦めることなく奥住を追い、300RからBコーナーにかけて並びかけ、ダンロップコーナーで再度4番手を奪い返すなど、随所で激しいバトルが展開された。

 この間もコンマ数秒差での接近戦を続けていたトップ3だったが、結局3者の中で唯一勝利の味を知る伊東が逃げ切ってオープニングレースを制することに。2位に三井、3位に岩澤と、ふたりが初表彰台に立つこととなった。混戦を縫うようにポジションを上げた荒川は4位。奥住が5位、6位には最終ラップで奥本を捕らえた平安山良馬が入った。

 ところが、SUPER GTの公式予選終了後にトップチェッカーの伊東にスタート手順違反(グリッド停止位置)があったとして、5秒加算のタイムペナルティーが課せられることとなり、繰り上がりで三井が初優勝、岩澤が2位に。伊東は3位に降格という、予想外の結末となった。

レース後のタイムペナルティにより、伊東は3位に降格。暫定表彰とは異なる順位結果となった

 インディペンデントカップでは、ポールポジションのDRAGONがスタートでクラストップをキープしたのに対し、2番グリッドの鳥羽豊がポジションを落とし、代わって齋藤真紀雄、佐藤セルゲイビッチ、今田信宏らが2〜4番手につけ、鳥羽は1周目を5番手で終える。

 しかしここから鳥羽がハイペースで追い上げを見せ、3周目にはインディペンデントカップの2番手にポジションを戻すと、4周目にはトップのDRAGONを捕え、一気に首位に躍り出る。
 鳥羽はそこからじりじりとDRAGONを突き放しにかかるが、6周目には伊藤慎之典をかわしてリードを拡大。これで優位にレースを進めるかと思われた鳥羽だったが、8周目のBコーナーでこの伊藤と接触してしまい、マシンにダメージを受けてしまう。

逆転でインディペンデントカップを制した鳥羽豊

 これで一気にDRAGON、佐藤セルゲイビッチとの三つ巴の攻防に転じたインディペンデントカップだったが、こちらも最後まで順位は変わらず、鳥羽が開幕戦で凱歌をあげることに。2〜3位にはDRAGON、佐藤セルゲイビッチが入り、齋藤、今田、近藤善嗣が4〜6位となっている。

IND-Cは鳥羽、DRAGON、佐藤セルゲイビッチが表彰台に立った