FIA-F4 もてぎ大会第14戦決勝レポート

大荒れの今季最終戦、小出が逆転優勝で王座獲得!
荒川、宮下が表彰台獲得、IND-Cは鳥羽豊が優勝

この最終戦で見事な逆転勝利を決め、自らのチャンピオン決定戦を飾った小出

 爽やかな秋晴れとなった11月6日日曜のモビリティリゾートもてぎ。FIA-F4選手権今季最終戦となる第14戦決勝は、39台のマシンが出走し、オンタイムの午前8時20分にフォーメイションラップがスタートした。

 この第14戦、ポールシッターは昨日と同じく小林利徠斗。これにタイトルに王手をかけている小出峻が続き、荒川麟、そして逆転タイトルには優勝するしかない三井優介が2列目に。さらには、宮下源都、大滝拓也が3列目、岩澤優吾、伊東黎明が4列目という上位グリッドでの13周の戦い。昨年同様、ドライバーズタイトルのかかった最終戦となった。

第14戦決勝、#36小林は#5小出を従えトップをキープもこの直後にSCに

 午前8時24分、レッドシグナルが消えて一斉にスタート。前日の第13戦同様に小林がホールショットを奪い、小出が2番手、3番手に荒川が続くも、イン側4番グリッドスタートの三井は加速が悪く、1コーナーで宮下、さらには大滝の後塵を拝する。
 ところが、このとき後方では24番グリッドの下野璃央がストール。何台かの車両はこの下野の車両を避けられたが、加速途中で行き場を失った近藤善嗣、SYUJIが避けきれずにクラッシュしてしまい、ダメージを受けた3台の車両がホームストレート上でて動けなくなってしまう。

 このためレースはオープニングラップにしていきなりのセーフティーカー導入に。ホームストレート上にクラッシュ車両があるため、1〜2周終了時はセーフティーカーの隊列はピットロードを通過。ほぼ作業の終わった3周終了時にはホームストレートを通過したのち、レースは4周終了時、5周目からのリスタートとなったが、このリスタート直前、隊列の中で混乱があり地頭所光がダウンヒルストレート半ばでクラッシュしマシンを止める。

6周目の3コーナー。#36小林は#5小出に並びかけるも、この後ポジションを落とす

 リスタートとなった5周目、トップ4は順位キープも、6番手にポジションを下げていた三井が1〜2コーナーで大滝をパスし5番手に。2コーナーで大滝がアウトにはらんだ間に岩澤が6番手に浮上。その前では、2番手小出がトップの小林に肉薄すると、S字〜V字あたりで小林のドアをこじ開けようとするが、小林も防戦。地頭所の車両があるためダウンヒルストレート半ばまでは黄旗区間となっていたものの、グリーンとなっている90度コーナーへの進入で、スリップから抜け出た小出が小林のインを奪ってトップを奪い取る。

 しかし、2番手に後退した小林も諦めることなく小出に迫ると、6周目に入ってさらにここに3番手の荒川がからみ、3台での首位争いに。この攻防の中、トップを奪い返そうと小林は3コーナーでアウトから小出に並びかけるが、ここで両者は軽く接触したか、小林は3〜4コーナー間でわずかにダートにタイヤを落とし、この間に4コーナー立ち上がりで荒川、さらには宮下が小林の前に出る。これでトップ4のオーダーは小出、荒川、宮下、小林となり、背後には三井、岩澤、そして中村仁以下が続くことに。
 ところが、この周の3〜4コーナーで8番手を争っていた伊東、大滝、奥住慈英の3台でのアクシデントが発生。伊東、奥住の2台がグラベルでリタイアとなってしまい、この車両の回収のためにまたしてもセーフティーカーが導入される。

#35荒川は#5小出を2番手で追走。3番手には#77宮下岩澤が続く

 このセーフティーカーは8周終了時まで続き、レースは9周目からリスタート。この時点で既にレースの残り時間は既に5分を切っている状況で、レースは30分間のタイムレースとなる様相を呈していたが、各ドライバーともに最後まで激しい攻防を続けることとなり、リスタート直後には中村が岩澤をパスして6番手に浮上。2番手荒川が前日同様に小出に肉薄したほか、翌10周目には90度コーナーでアウトから並びかけた三井が小林をオーバーテイクしてみせる。

 しかし、13周レースの11周目には既にレースの最大時間である30分を超過したため、このラップがファイナルラップに。なんとか 荒川からの攻勢を凌いだ小出は、両腕を高く突き上げつつガッツポーズでトップチェッカー。自らのチャンピオンを逆転優勝で飾ることとなった。
 2位には惜しくも今季勝ち星に恵まれなかった荒川。3位には、これが嬉しい初の表彰台となる宮下が入り、タイトルの希望を残していた三井は最後まで追い上げるも4位に。また、ファイナルラップとなった11周目にオーバーテイクした中村が5位、小林は6位で惜しくも連勝はならなかった。

優勝の小出が今季チャンピオンを手に。2位荒川に続いた宮下は、これが初表彰台となった

IND-C最終戦は2番手でチェッカーも、#63鳥羽豊が優勝となった

 一方、インディペンデントカップでは、第13戦の覇者HIROBONがポールポジションからのスタート。間に他クラスの車両を挟んで、鳥羽豊、齋藤真紀雄、DRAGON、さらに大阪八郎、近藤善嗣、大山正芳、KENTAROらが続くグリッドとなった。

 スタート直後、前述したアクシデントにより、いきなり近藤とSYUJIがリタイアとなり、11台でのレースとなったインディペンデントカップだが、スタート直後は鳥羽がトップに浮上も、その後HIROBONがトップに。これに鳥羽、DRAGONが続き、齋藤はひとつ順位を下げて4番手。これにKENTARO、大阪、大山、小嶋禎一、窪田俊浩、YUGO、DAISUKEというオーダーでのセーフティーカーランが続いた。

DRAGONは連勝ストップも、この最終戦も着実に2位

 再開後、トップを行くHIROBONは間に他クラスを挟んでいることもあり、2番手鳥羽の攻勢を受けることなく周回を重ねると、そのまま2回目のセーフティーカーラン以降も首位を快走し、見事トップチェッカーを受けた。

トップチェッカーの#72HIROBONはペナルティーで降格に

 これでHIROBONがもてぎ大会を連勝かと思われたが、レース後HIROBONがセーフティーカーラン中に追い越しがあったということで、競技結果に40秒加算のペナルティーが科せられることとなり、11位に降格。このため、優勝は今季王者である鳥羽に。そしてDRAGON、齋藤が2〜3位、以下4〜6位には大阪、KENTARO、小嶋が入ることとなった。

最終戦を制することとなった鳥羽。今季はこれで10勝と圧倒的なシーズンを送った