2023 富士大会第1戦決勝レポート

小林利徠斗が盤石の走りでポール・トゥ・ウイン
奥本、佐野が初表彰台、IND-Cは逆転で鳥羽が凱歌!

#36小林利徠斗が開幕戦を見事なポール・トゥ・ウイン

 ピットウォークが終了した午後1時55分、今季開幕戦となる第1戦決勝へのコースインが始まった。午前の予選を通過した45台のマシンが続々とダミーグリッドへ向かい、初夏を思わせる日差しの下でいよいよ午後2時10分にフォーメーションラップが始まった。

第1戦決勝のスタートシーン、#36小林の背後では#5三井と#35中村仁が競り合う

 14周で争われる第1戦の決勝上位グリッドは、ポールポジションに小林利徠斗、2番グリッドに三井優介が並び、2列目には佐藤樹、中村仁、3列目には野村勇斗、荒川麟、4列目には奥本隼士、森山冬星が続き、1周の後、午後2時15分にレッドシグナルがブラックアウト、戦いの火蓋が切って通された。
 ここで鋭く反応を見せたのはPP小林と2番グリッドの三井、そして4番グリッドの中村仁。一方3番グリッドの佐藤はわずかに動き出しが鈍く、1コーナーまでに中村仁の先行を許してしまう。ポジションを上げた中村仁は、2番手で1コーナーにアプローチしようとする三井のインを伺うが、ここで2台は接触してしまい、三井はスピン。この三井の車両に中村仁も接触し、ともにマシンにダメージを受けたことで、なんと一気に上位2台が戦列を離れてしまったほか、このアクシデントを避けようとした荒川麟、卜部和久らが大きくポジションを落としてしまうが、さらにオープニングラップの混乱は続き、ダンロップコーナー付近では複数の車両が接触やコースアウトを喫してしまい、清水啓伸、辻本始温、徳升広平らがリタイア。このため、いきなりのセーフティーカー導入となった。

小林の背後では#7森山、#38奥本らが激戦を展開

 セーフティーカーランは3周終了時まで続き、レースは4周目からリスタート。トップ小林はここから独走体制に持ち込む展開となるが、小林の背後では激闘が続いた。
 まずリスタート直後の1コーナーでは、スリップを生かして2番手佐藤をアウトからかわそうとしていた野村とイン側で粘ろうとしていた佐藤が接触。これで野村もスピンし、結局ピットへ戻ってリタイアとなったほか、この2台の背後ではコカコーラコーナーで大宮賢人が西村和真を捕らえて5番手に浮上。さらに大宮はダンロップコーナーで前を行く森山のインを突いて4番手へとポジションを上げていく。
 トップの小林が4周目からファステストラップを連発しながら2番手とのギャップを拡大する中、2番手佐藤の後ろでは、奥本、大宮、森山らによる3番手争いがコンマ数秒差で熾烈を極めることとなり、7周目に大宮が奥本をダンロップコーナーでかわして3番手に浮上し、2番手佐藤に詰め寄ろうとするが、その直後の9周目、2番手佐藤に野村との接触に関してドライブスルーペナルティーが科せられてしまう。

フィニッシュライン直前で大宮を捕らえた#38奥本が3位に

 10周終了時に佐藤がペナルティー消化のためピットインすると、順位が繰り上がった大宮、森山、奥本、さらに追い上げてきた佐野雄城らによる攻防がさらに激しいものとなるが、ファイナルラップに入った1コーナーではスリップから抜け出て大宮をかわそうとした奥本と、それを防ごうとした大宮がアウトに大きくはらんだが、漁夫の利を得る形でコカコーラコーナー立ち上がりで佐野が奥本、大宮をかわして一気に3番手に。しかし、ダンロップコーナーで大宮が佐野のインを突いて、立ち上がりで3番手を奪い返すが、この攻防で2台が失速したことで5番手で追走していた奥本が13コーナーで佐野をパスして4番手に。

 こうした攻防をよそに、トップの小林は大きなギャップに守られて嬉しいトップチェッカー。ファステストラップこそ荒川に譲ったが、磐石の走りで今季初優勝をゲットすることとなった。
 また、周囲の乱戦をうまく凌いだあと、12周目の1コーナーで大宮を捕らえて2番手を奪った森山が、そのままデビューレースでの2位表彰台に。そして最後の表彰台の一角には、最終コーナーを前で立ち上がった大宮が入るかと思われたが、スリップを生かしてわずかに前に出ることに成功した奥本が0.033秒差で入り、こちらも初となる3位表彰台を勝ち獲ってみせた。以下、大宮、佐野、西村和真が4〜6位となった。

 ところが、決勝レース終了後に走路外追い越し違反があったとして2番手チェッカーの森山に10秒加算のペナルティーが科せられ9位へ降格。これで奥本が2位、佐野が3位となるなど上位陣に繰り上がりが発生したほか、4番手でフィニッシュした大宮にも、他車を走路外へ追い出したとして競技結果に10秒加算され15位に降格となるなど、合計6人のドライバーにペナルティーが科せられるなど、乱戦を印象付ける結果となった。

小林、奥本とともに初表彰台を得たかと思われた森山だったが、この後降格となった
IND-Cは昨年の覇者#63鳥羽豊が#2仲尾恵史を抑えてトップチェッカー

 一方、インディペンデントカップでは、仲尾恵史がポールスタートながらもオープニングラップのダンロップコーナーで、今田信宏が仲尾をかわしてトップに浮上。これを仲尾、鳥羽豊、さらには藤原誠、DRAGON、齋藤真紀雄らが追う展開となったが、セーフティーカーが明けてからも、今田、仲尾、鳥羽の3台が三つ巴の首位争いを続ける。
 しかし、5周目に鳥羽が仲尾を捕らえて2番手にポジションを上げると、6周目にはトップに。ここで今田が後退し、2番手には仲尾が浮上。レース後半、時折後方から追い上げてくる若手をいなしながら、最後まで攻防が続いたものの、鳥羽、仲尾、今田のオーダーは変わらず、そのままディフェンディングチャンピオン鳥羽が今季初優勝をマークし仲尾、今田が2〜3位表彰台へ。藤原、DRAGON、山崎令二郎までが4〜6位に入った。

1周目に首位に立った#44今田だが、開幕戦は3位に
鳥羽、仲尾、今田という顔ぶれとなった第1戦決勝のインディペンデントカップ表彰台