2023 富士大会第2戦決勝レポート

トップチェッカーの三井に痛恨のペナルティ
優勝は中村仁、IND-Cは藤原誠が初優勝

三井の先行を許したものの、中村仁が第2戦を制す

 前日に続いて朝から爽やかな快晴となった5月4日、第2戦決勝は午前8時15分にフォーメーションラップが始まったが、コースイン開始直前に中村賢明がクラッチトラブルに見舞われて無念のリタイアとなり、この決勝には44台のマシンがスタートすることとなった。

 昨日と同じくポールポジションは小林利徠斗。2番グリッドの三井優介はフォーメーションラップ終盤、ホームストレート付近でウィービング中にスピンを喫したものの、無事自らのグリッドに戻って事なきを得た。2列目に佐藤樹と中村仁、3列目に野村勇斗と荒川麟と、昨日と同じ顔ぶれでの14周の戦いは、午前8時20分にスタートとなった。

レースをリードした#36小林、#5三井がともに後退、#35中村仁に勝利の女神が微笑む

 レッドシグナルが消えると、前日同様にPP小林がまずまずの動き出しを見せ、三井が2番手に。3番グリッドの佐藤はスタートでやや出遅れ、代わって1コーナーでは中村仁、野村、荒川が3〜5番手に浮上。1コーナーでは大山正芳が他車との接触でスピンを喫するも、無事レースに復帰を果たす。
 しかし、この第2戦でもオープニングラップのダンロップコーナーで大きなアクシデントが起こってしまう。コーナーにアプローチしていた辻本始温と、そのインを突いた渡部智仁が接触。ダンロップコーナーの中で2台のマシンがストップ、立ち往生したこれらの車両に鳥羽豊、大阪八郎ら後続車両が次々接触、さらに同じ場所で別の接触も発生するなど、動けなくなった複数の車両が発生したことで、またしてもセーフティーカーが導入されることとなった。

 セーフティーカーランの段階でのトップ10は、小林、三井、中村仁、野村、荒川、奥本隼士、佐藤、卜部和久、森山冬星、三島優輝というオーダー。車両回収が終了し、レースは5周終了時にリスタートとなった。

連日のセーフティーカー登場となった今回の富士大会

 このリスタートで、トップ小林のスリップにうまく入ることに成功した三井は、ホームストレートで並びかけ、わずかに前に。しかし、1コーナーに向けて2台は並走する形となりイン側のラインで粘ろうとした小林だったが、ここで手痛いオーバーシュートを喫してしまい、三井のみならず野村、中村仁の2台にも先行を許し、荒川の前、4番手での復帰となってしまう。これで上位陣は三井、野村、中村仁、小林、荒川、奥本、佐藤、卜部、森山、三島という並びに。

 首位に立った三井がじりじりと2番手とのギャップを拡大していく中、7周目のコカコーラコーナーでは森山が卜部をパスして8番手に浮上。さらに奥本と佐藤が攻防を展開。また、8周目には中村仁が野村から2番手を奪い返すなど、各所でバトルが続けられるが、トップ三井は2番手に浮上した中村仁からも、じりじりとマージンを稼いでいった。

第2戦で初表彰台となる2位を得た野村勇斗

 トップ三井と2番手中村仁とのギャップが2秒を超え、このまま三井が逃げ切りかと思われた13周目、なんと首位を快走する三井にリスタート時のスタート違反という裁定が下る。セーフティーカー明けのリスタート時、スタートライン手前で三井が小林の前に出てしまっていたという痛恨のペナルティーにより、ファイナルラップを目前に三井は降格が決定してしまったのだ。

 このため、三井はトップチェッカーも優勝は中村仁。これが自身2勝目となる中村仁に次いでの2位には、初表彰台となる野村。3位には連勝はならなかったが、連続表彰台となる小林。以下荒川、森山、佐藤までがトップ6となった。

先行した三井のペナルティという予期せぬ結末を受け、中村仁、野村、小林が表彰台に
IND-Cは今季初参戦の藤原誠が植田の攻勢を凌いで嬉しい初優勝

 またインディペンデントカップでは、今田信宏がポールポジション。これに仲尾恵史、植田正幸が続く上位グリッドでのスタートとなったが、オープニングラップに発生したダンロップコーナーでのクラッシュ車両を避ける混乱の中で、今田をかわした藤原誠がトップに浮上する。このダンロップコーナーでのアクシデントで、コース上に立ち往生していた車両を避けきれず、鳥羽豊、大阪八郎がリタイア、さらに付近での別のアクシデントで小嶋禎一もリタイアとなり、インディペンデントカップの上位オーダーは藤原誠、今田、植田、DRAGON、仲尾、山崎令二郎という顔ぶれに。

#10植田は久々のFIA-F4参戦ながら、週末を通じ速さを見せ2位

 セーフティーカーが明けると、8周目あたりからインディペンデントカップはトップの藤原誠から7番手の近藤善嗣あたりまで数珠繋ぎでの戦いになるが、徐々に今田がポジションを下げ仲尾、DRAGONが3〜4番手にポジションアップもトップ2の藤原誠、植田は接近戦のまま終盤に。
 藤原誠vs植田の攻防は、チェッカーまで続き、最後に藤原誠のスリップから植田が抜け出て並びかけようとするも、辛くも藤原誠が逃げ切りを果たし、嬉しい初優勝。植田は復帰2戦目で2位表彰台を獲得、3位には連続表彰台となる仲尾が入り、以下DRAGON、山崎、近藤が4〜6位となった。

IND-C初優勝を喜ぶ藤原誠をセンターに、植田、仲尾が第2戦の表彰台に立った