FIA-F4鈴鹿大会第4戦決勝レポート

FIA-F4鈴鹿大会第4戦決勝レポート

トップチェッカーの木村にペナルティー
荒川麟が初優勝! IND-Cは佐藤が今季初V

 夜半に降った雨の影響が残り、黒く湿った路面が所々に残る日曜朝の鈴鹿サーキット。FIA-F4選手権第4戦決勝は、薄曇りの下午前8時45分にフォーメーションラップがスタートした。念の為ウェット宣言が出されたが、昨日の第3戦と異なり雨の気配はなく、全車がドライタイヤでの戦いとなった。

 上位グリッドにはダブルポールで昨日の第3戦を制した木村偉織を先頭に、2番グリッドに荒川麟、3番グリッドに野中誠太、4番グリッドに小出峻、5番グリッドに太田格之進、6番グリッドに元嶋成弥という顔ぶれが並んでいたが、レッドシグナルが消えると、ポールポジションの木村はまずまずの動き出しも、2番グリッドの荒川は、加速が鈍く野中が1コーナーまでに2番手に浮上。さらに1〜2コーナーで荒川に並びかけた小出が3番手を手に入れ、荒川は一気に2ポジションダウン。これに太田、元嶋、さらに伊東黎明、清水英志郎、奥住慈英、小川颯太らが続くこととなった。

 このオーダーのままオープニングラップを終えた上位陣だが、木村をコンマ3秒差で野中が追走も、その野中のコンマ5秒後方には小出、さらにコンマ3秒差に荒川と僅差の攻防。2周目、3周目と周回が進んでもこの接近戦は変わらず、4周目にトップの木村が2分09秒309のファステストラップを刻んで逃げようとするも、後続もハイペースで周回しており、あまりギャップは拡大せず緊迫した展開が続く。

 すると、5周目にS字コーナーで慶原克律がスピンを喫しグラベルストップ。これでセーフティーカーが導入されることとなり、接近戦はさらにギャップがなくなることに。この時点でのトップ10もオープニングラップ終了時と同じ、木村、野中、小出、荒川、太田、元嶋、伊東、清水、奥住、小川というオーダー。このセーフティーカーは、7周目のスプーンカーブで消灯し、いよいよ8周目からリスタートとなった。

 ここで木村の背後にピッタリと食らいついてうまくリスタートを決めた野中は、ホームストレート上でスリップから抜け出し木村のアウトから並びかける。1コーナーにはやや野中が先行するような状況となったが、木村も簡単に首位の座を譲るわけもなく両者は並走したまま1コーナーを抜けるが、2コーナーへ向かう中での競り合いで木村と野中は接触。野中はアウト側へコースオフして後退してしまう。また、その背後では3番手につけていた小出もスピンアウトしてしまい、2コーナーを立ち上がった時点で木村に続いたのは荒川、太田、元嶋ら。さらにこの周のヘアピンへのアプローチで元嶋が太田を捕らえて3番手に浮上することに。

 このため、8周終了時のトップ10のオーダーは木村、荒川、元嶋、太田、野中、伊東、清水、奥住、小川、岩澤となるが、9周目の1コーナーで太田が元嶋を再逆転、3番手に返り咲く。また、コースオフの影響か、ペースの鈍った野中は伊東にかわされ6番手に後退するが、さらには10周目の1コーナーではこの野中に清水、奥住が襲いかかる。ところがイン側から野中の前に出た清水だったが、1〜2コーナー間で勢い余ってスピンアウト。これで、上位陣のオーダーは木村、荒川、太田、元嶋、伊東、奥住、小川、野中、松澤亮佑、岩澤となり、いよいよファイナルラップへ。

 このまま木村の逃げ切りかと思われたが、なんとリスタート時の野中との攻防が危険行為との裁定が下され、5秒のタイムペナルティーが科せられることがモニター表示される。無線を使用しないFIA-F4選手権だけに、コース上のドライバーはこれを知るもなく、トップチェッカーの木村は右手でガッツポーズを作ったが、パルクフェルメに最初に誘導されたのは荒川。荒川もその場で優勝を知らされ、ようやくガッツポーズを見せることに。同様に、2位に太田、3位には初表彰台となる元嶋が入った。
 4位には伊東が続き、木村は5位。6位には、ファイナルラップに2分09秒301のファステストラップを刻んだ奥住となった。

 一方インディペンデントカップでは、スタート直後は仲尾恵史が先行し佐藤セルゲイビッチ、今田信宏、鳥羽豊と続くが、昨日の第3戦を制したHIROBONが昨日同様の驚異的なペースで最後尾から追い上げる展開に。
 2周目、佐藤が仲尾を攻略しトップ浮上を果たすと、仲尾、今田の背後にはHIROBONが肉薄。このラップの間にHIROBONは今田、仲尾を攻略し、2番手に浮上することに。
 それでもトップ佐藤はHIROBONを上回るペースで飛ばし、4周終了時点で2.5秒のギャップを築いていたが、5周目にセーフティーカーが入ってしまう。

 このため、リスタート後は佐藤、HIROBON、今田、DRAGON、仲尾、鳥羽らが僅差のまま攻防を展開したが、佐藤が最後までHIROBONの逆転を許さず今季初優勝。以下、HIROBON、今田、DRAGON、鳥羽、仲尾が2〜6位となった。

2021 FIA-F4選手権 第4戦 鈴鹿 決勝上位コメント

決勝上位コメント

第4戦 決勝1位
荒川 麟【#36 TGR-DC RS トムススピリットF4】

「スタートの苦手意識がなかなか拭えず、今日も反応は良かったもののホイールスピンして2台に先行されてしまいました。でもマシンバランスが非常に良かったので、挽回できる自信はありました。そんな中、セーフティーカーのリスタートで前のミスもあって2位に上がることができました。(ゴールまでトップのNo.6 木村選手の)ペナルティーは知らなかったですが、あきらめずに走り続けて良かったと思います。タナボタではありますが、勝ちは勝ちなので素直に嬉しいです。次のSUGOでは実力で勝てるようがんばります」

第4戦 決勝2位
太田 格之進【#7 HFDP/SRS/コチラレーシング】

「序盤は前も後ろも近くて油断できない状況が続きましたが、全体的にタイム差が小さかったので、タイヤを序盤うまくセーブできれば後半チャンスが来るだろうと踏んでいました。その結果、前でミスもあって順位を上げていくことができました。無理せず、ミスなく、走った結果かなと思います。ここまで3戦連続2位なので、とにかく今は早く勝ちたいという気持ちでいっぱいです。昨日(第3戦)も勝てるチャンスがありながら逃していますし。次のSUGOはぜひ、優勝できるようがんばります」

第4戦 決勝3位
元嶋 成弥【#40 SACCESS RACING】

「昨日のレース(第3戦)でタイヤ選択をミスしてスリックを使わなかったので、逆に今日は勝負できるかなと思って諦めずに走りました。前のペースは速かったですが、とにかくミスをせずに食らいついていき、前がミスした瞬間を逃さないよう心掛けていました。一時3位に浮上しながらその後抜かれてチェッカー後は悔しくて泣いていたのですが、ペナルティーがあって繰り上がり表彰台になったことを知り、今度は別の涙が出てきました。次の大会も表彰台争いができるようがんばります」

第4戦 インディペンデントカップ1位
佐藤 セルゲイビッチ【#3 結婚の学校 フィールドモータースポーツ】

「2番手スタートということでまず(インディペンデントカップの)ポールポジションの仲尾選手とのバトルを考えていて、序盤のうちに勝負をかけたかったのでスタートからプッシュしていきました。その結果スムーズに抜くことができ、その後も引き離すことができたので、このままスムーズに優勝できると思っていたらセーフティーカーです。そこでマージンがなくなってしまったので、そこからは再び気を引き締めて走りました。優勝することができて嬉しいです。最初の2戦を欠場したことで今季のチャンピオン獲得は厳しいと思いますが、このまま勝ち続ければ可能性は出てくるので、この後はすべて勝つつもりで挑みます」

2021 FIA-F4選手権 第3戦 鈴鹿 決勝上位コメント

決勝上位コメント

第3戦 決勝1位
木村 偉織【#6 HFDP/SRS/コチラレーシング】

「開幕戦以来ずっと(勝てずに)悔しい思いをしてきて、ホームコースの鈴鹿ではなんとしてもまた優勝したいと強く思って挑んだ一戦だったので、勝てて良かったです。ハーフウェットの路面だった序盤はペースが悪く2位に落ちてしまいましたが、セーフティーカー中に太陽が見えてきたので“これで行ける”と思い、リスタート後はトップ奪回を狙って集中して走りました。最終周のスプーンコーナーから狙っていって、130Rでうまく(太田選手の)スリップストリームに入ることができて抜くことができました。明日(第4戦)も天気はどうなるかわかりませんが、どんなコンディションでも行けるよう、しっかり準備して臨みたいと思います」

第3戦 決勝2位
太田 格之進【#7 HFDP/SRS/コチラレーシング】

「序盤の路面が少し濡れていたときはペースが良く順位もどんどん上げられたのですが、乾いてくるとペースが落ちていって、セーフティーカー中は“早く終わってくれ”と思っていました。セーフティーカーがなかったらトップを最後まで守れていたと思いますが、その間に乾いてしまったので逃げきれませんでした。明日(第4戦)は5番手スタートで前にいるチームメイト2人も強いので優勝はそう簡単ではないと思いますが、精一杯がんばります」

第3戦 決勝3位
小出 峻【#5 HFDP/SRS/コチラレーシング】

「ペース自体は最初から良かったのですが、正確なライン取りが求められる序盤の難しい路面の中で判断を誤ったときもあって、抜きつ抜かれつの展開になり、そのロスが最後まで響いたという感じです。クルマの調子も良かったですが、僕らは鈴鹿(のレーシングスクール)でずっと戦ってきたドライバーなので、ここでのトリッキーなコンディションだからこそ強かったと思います。明日(第4戦)も連続で表彰台に上がれるよう、しっかりとクルマを仕上げて臨みます」

第3戦 インディペンデントカップ1位
HIROBON【#11 Rn-sports Andare】

「今回はドライ路面のときよりもウェットのときの方が調子良かったので、(優勝は)運もあったかなと思います。タイヤ選択はギリギリまで迷いましたが、周りがレインタイヤでトップ集団はスリックということでスリックに賭けたのですが、結果的に正解だったようで順位を上げていくことができて良かったです。明日(第4戦)はドライの予想で最後尾スタートなのでちょっと優勝は厳しいと思いますが、まずはスタートでジャンプアップを狙っていきたいと思います」

FIA-F4鈴鹿大会第3戦決勝レポート

FIA-F4鈴鹿大会第3戦決勝レポート

木村偉織がファイナルラップに逆転で2勝目!
太田、小出が表彰台、IND-CはHIROBON凱歌

 公式予選から4時間半が経過した午後1時10分、FIA-F4選手権第3戦決勝のコースインが始まった。ドライコンディションでのコースインながら、どんよりとした空の下、コースイン直前から西コースを中心に細かい雨が降り始めたことで、予選同様にウェット宣言が出されることに。各車が1周の後ダミーグリッドに着いたが、断続的に細かい雨が降る状況となり、各チームがドライタイヤかレインタイヤかの選択に頭を悩ませる中で、午後1時25分のスタートは10分間ディレイされる。

 このディレイの序盤にはグリッド上の雨が減ったものの、作業が許されるフォーメーションラップスタート3分前となった午後1時32分の直前には雨量が増え、結果的にグリッド中団以降の17〜8台がレインタイヤを選択。対照的に上位陣はドライタイヤを選択し、レインタイヤを履く最上位は9番手スタートの元嶋成弥であった。

 そして迎えた第3戦のスタートは微妙なコンディションとなったことからセーフティーカー先導スタートに。このため、午後1時35分にセーフティーカー先導で静かに1周目が始まった。

 このセーフティーカーは2周目にコースを去り、2周目から本格的な戦いがスタート。デグナーでは6番手の伊東黎明が小出峻に襲いかかるも、ポジションチェンジはなし。一方、130Rで野中誠太を捕らえた荒川麟が2番手に浮上、さらにシケインでは太田格之進が3番手に後退した野中をパスし、木村、荒川、太田、野中、小出、そして伊東がトップ6というオーダーで3周目を終える。

 やや雨量が増え始める中、5周目には1コーナーで清水英志郎が奥住慈英をパスし7番手に。このころ、9番手につけていた松澤亮佑には、2周終了時のスタート時にコントロールライン前に前車を抜いてしまっていたため、スタート違反でドライブスルーペナルティーという裁定が科せられ、この後ポイント圏外への後退を余儀なくされる。

 レース半ばの6周目、雨量が増えてペース的に厳しくなったか、2番手の野中に太田が肉薄。1コーナーで仕掛けると、続く2コーナーで太田が野中の前に出て2番手に。また、その背後ではいったん先行されていた伊東を小出が抜き返し、5番手に復帰を果たすが、さらにコース終盤で一気に野中、荒川をパスして3番手にまで躍進。
 加えて勢いに乗る太田は続く7周目には一気にトップとの間合いを詰め、130Rで木村を捕らえトップに躍り出ることに。これで、7周終了時には、太田、木村、小出のHonda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト勢がトップ3を独占、これを荒川、伊東、野中、清水、奥住、岩澤優吾、小川颯太らが追う展開。
 一方タイヤ選択という面で見れば、インディペンデントカップの10番手という後方からスタートしたHIROBONがドライタイヤを選択し、なんと小川の後ろ、総合11番手にまで追い上げてきていたことからも明白なように、ドライタイヤが正解であった。

 しかし、レースはこのまま終わらず、8周目のシケインで今田信宏と接触した鳥羽豊がスピンアウト。再スタートは叶わず、この鳥羽の車両を回収するため、またもセーフティーカーが導入されることとなってしまう。
 8周目、9周目とセーフティーカーが先導し、10周目にセーフティーカーのランプが消灯。11周のこの第3戦決勝は、ラスト1周の攻防となった。

 1コーナーで伊東を野中がパスして5番手に浮上、さらに伊東は清水の後塵を拝することに。また、スプーンでは野中が4番手の荒川を捕らえて前の3台を追うが、その前ではHonda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト勢が三つ巴の攻防を展開。130Rの飛び込みで、2番手木村がトップの太田に並びかけこれを攻略、木村が再逆転で首位の座を奪い返す。
 その背後では野中が小出にチャレンジするも、小出はこれを許さず。結局トップチェッカーを受けたのは木村で、これで今季2勝目。太田は悔しい2位となり、3位には小出が入り、Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクトがホームコースの鈴鹿で表彰台を独占。野中が4番手で続き、最終立ち上がりで密集状態の中、清水が僅かに荒川に先んじて5番手でフィニッシュを果たした。
 しかしレース後、野中には最後のリスタート時に追い越しがあったとしてH項違反のため40秒加算となり、ポイント圏外に降格されることに。この結果、清水、荒川、奥住が4〜6位となった。

 レインタイヤを選択するドライバーが圧倒的多数となったインディペンデントカップでは、序盤からドライタイヤを選択したドライバーが他を蹴散らすかのようにハイペースでポジションを上げていく展開。
 序盤こそ、ポールポジションからスタートした仲尾恵史がレースをリードし、これに佐藤セルゲイビッチが続いたものの、3周目にはドライタイヤを履いていたHIROBONがインディペンデントカップ勢のトップに大躍進。さらに同じくドライタイヤを履く齋藤真紀雄も仲尾、佐藤を相次いで捕らえて2番手に浮上、さらに最終ラップに同じくドライタイヤの碓井ツヨシがポジションを上げて3番手に続き、終わってみればドライタイヤを選択したドライバーがインディペンデントカップの表彰台に。

 大逆転でインディペンデントカップ今季3勝目を飾ったHIROBONは、総合順位でも11番手でフィニッシュ。しかし、野中の降格処分により10位に繰り上がることとなり、インディペンデントカップがスタートした2018年以来、初めてインディペンデントカップ対象ドライバーが総合でのシリーズポイントを獲得する快挙となった。